2015-04-17

2015/4/17(Fri) お囃子の 音や灯りや 宵祭り

4月16日の夜。

二荒山神社の弥生祭の前夜。各町内から繰り出された花屋体が町の夕暮れに灯りをともし、お囃子の音があちこちから響いてきました。

高井家のある下本町は、何年か前から過疎化のため屋体を出せなくなってしまいましたが、西町4ヶ町の花屋体が、店のすぐ近くの四ツ辻で顔合わせをします。

お座敷のお客様もお囃子の響きにつられて見物に。

美しく着飾った少女たちが奏でる笛や太鼓・鐘の音は、やっとおとずれた日光の春の宵を彩り、なんとも言えない夢の中のひとコマのよう。

かつては賑わった下本町の通り、今は昔の子供たちの姿を思い出してしまうせいでしょうか。



2015/4/17(Fri) 初鳴きに 合わせてアケビの 花が咲く

 4月14日。

池の方からククククという蛙の声が。

夜になると、玉を転がすようなモリアオガエルの鳴き声が聞こえてきました。

そうか。

今年の初鳴きは4月14日かー。

毎年4月10日頃に鳴き始めるのですが、ちょうど時ならぬ雪でびっくりして引っ込んでしまったのかもしれません。

次の日、暖かになった庭で、アケビの花が咲いているのに気づきました。

よかった!まだ寒い頃、枝を掃除してツルを巻き直した新芽を心配していましたが、たくさん花をつけました。

庭の花や生き物たち。

よく忘れないで季節を知らせてくれることに感謝。



2015-04-09

2015/4/9(Thu) 地球儀に 日本のかたち たずねれば

この白い地球儀は、茶道で使う水指です。

先日、金谷ホテル歴史館のオープンの添え釜のお手伝いをした時に、お道具をいろいろ考えました。

プレオープンの日、ヘボン博士に関する大西教授の講演を聞いて、幕末に海を越えてはるばる日本に来たアメリカ人宣教師のご苦労から、ヒントを得て、選びました。

実は、この地球儀は今年の勅題の茶道具のひとつで、「本」の字に日本をあてて地球儀にした面白いものです。

ヘボン博士の助言で、日本で最初に外国人のための宿を開いた金谷ホテルは、日本のホスピタリティーの原点。

私たちは子供の時から日本が真ん中に位置する世界地図で教育を受けてきましたが、こうして改めて地球を見ると、アジア大陸の端っこにちょこんとくっついています。

水指の正面を日本にすると、お客様から見えるのは広い海。

よくまあ、あの時代にこの太平洋を越えて・・・。

日本のかたちをしみじみ眺めながらお茶をたてました。



2015/4/9(Thu) 法華経に 耳を澄ませば 花まつり

 4月8日。花まつり。お釈迦様の誕生日です。

2階の広間に掛けてあるこの書は、大正十一年四月八日に

会津の衆議院議員中野寅吉先生の筆になります。

いつもお客様に聞かれて、なんとなく解説は出来ましたが、正確な読みはできなくて困っていたところ、ご祝儀でご来店された学芸員の方が詳しい解読をしてくださいました。


「礼讃

 栗山蕎麦

 苦離山の

 楚婆(そば)と聞くさえ

 嬉しきに

 名も高井屋に

 法華経の声

 (以下、漢文と思われます)

 時に大正十一年(一九二二)四月八日

 釈尊降誕の佳辰なり。

 予と愚息一郎日光東照宮廟に

 詣で、帰途高井屋に少憩す。

 偶(たまたま)黄鳥(※)

 一囀(いってん)、渓谷を起こす。すなわち

 この作あり。

 会津選出衆議院議員

   中野寅吉識(印)」


そして、さらにわかりやすく、現代文も送ってくださいました。


「(解説)

会津の衆院議員中野寅吉が子息一郎と高井屋(家)に立ち寄り、書いた書です。 ちょうど四月八日という釈迦の誕生日にちなみ、栗山を『苦離山(苦が離れる山)』、ウグイスの鳴き声を法華経にたとえたりしています。」


と教えてくださいました。

当時、栗山蕎麦の看板を掲げて蕎麦屋を商っていた高井屋(当時の屋号)には、多くの文人墨客が訪れましたが、店主はこの書をとても大切にして額装したそうです。

今年の4月8日は時ならぬ雪。

昨日まで鳴いていた鶯も静かです。

毎年、この日になると庭の梅の木に来た鶯の声を聞きながら、

まったく同じ情景に胸を打たれていました。

時代は変わっても、変わらぬお客様の粋なはからい。

誠にありがとうございます。

これから毎年、花まつりに鶯の声を聞くたび感謝申し上げます。



2015/4/9(Thu) 花に雪 雅に響く 謡の会

4月8日の朝。

昨日までの春の庭とうって変わって雪景色。

せっかく満開になったヤシオツツジもカタクリも雪に包まれ、う~、寒そう!

たった一日でこうも違うものでしょうか。

だんだん上手になってきた鶯君の声も聞こえません。

冬タイヤの交換を先延ばしにしておいてよかった。

やはり、日光は弥生祭まで油断ができませんね。

でも、鳥と花たちには可愛そうですが、思いがけない雪の庭の美しいこと。

この日は御用邸で、栃木県謡曲連盟主催「春の日光謡曲大会」が開かれました。

観世流・宝生流・喜多流の各派が一堂に会し、日頃の成果をお披露目。

九代目も観世流で参加。

そのあと帰宅して、お仲間と3時半頃から反省会。

といっても、正しくは雪見酒でした!



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