ご無沙汰しております。やっと長い夏が終わりました。今年は暑さのあまり、冬眠ならぬ夏眠をしていたようなおかみのたかみです。気がつけば、日光の田畑は稲刈りも終わり、白く一面にゆれるのはそばの可憐な花。
最近、高井家のそばを復活させました。夏そばというのは、一足先に収穫した新そばです。常陸や日光、栗山のそば粉のいいのが入るたび、九代目はそば打ち職人に変身。お客様にも好評です。
明治の器に盛ると、まるでお祖父さんが出てきて、「まだまだ」と言いそうな。でも、そばつゆは高井家伝来のレシピです。
ご無沙汰しております。やっと長い夏が終わりました。今年は暑さのあまり、冬眠ならぬ夏眠をしていたようなおかみのたかみです。気がつけば、日光の田畑は稲刈りも終わり、白く一面にゆれるのはそばの可憐な花。
最近、高井家のそばを復活させました。夏そばというのは、一足先に収穫した新そばです。常陸や日光、栗山のそば粉のいいのが入るたび、九代目はそば打ち職人に変身。お客様にも好評です。
明治の器に盛ると、まるでお祖父さんが出てきて、「まだまだ」と言いそうな。でも、そばつゆは高井家伝来のレシピです。
27日まで小泉淳作展が日本橋高島屋で開かれています。京都の建仁寺、鎌倉建長寺の天井画の龍に続いて、今年は奈良の東大寺の本坊の襖絵40面が5年がかりで完成しました。そこで私たちも久しぶりの江戸。その緻密さ荘厳さは圧巻でした!
これは高井家のお座敷の壁にかけてある小泉さんの椿とひよどり。この絵の隣には柱掛けがあって、王維の詩、田園楽の一節が書かれています。「花落ち家僮未だ掃わず、鴬啼いて 山客なお眠る」。鳥と花の種類は違いますが、高井家ではおもてなしの心にしています。
ご縁があって高井家にも何点かある小泉淳作画伯の作品。この観音様の版画の軸は、優しく清らかで、そして艶やかなお姿で、拝見するたびに魅了されます。
画伯御歳八十六。展覧会で上映されていた祈るように丹念に東大寺の襖絵を描く様子には胸を打たれました。当家を訪れて、湯豆腐談義をしてくださったのは何年前だったのでしょうか。
9月22日は十五夜。でも残念ながら、日光は大雨に雷。それでもお供えをして、縁側でしばしの宴。濡れた庭に時折稲妻が光って、一瞬の絵を切り取ってくれます。雨に洗われた風がやしおつつじの葉を揺らして…。
あ~、お金に換えることのできないこのひと時。白磁に冷やりと酒は美味いし。お月様の姿は見えなくても、ちゃんとどこにおられるのかわかるのも年の功。李白の詩で盃を上げ月に話しかけるのです。
大女将が縁側で寝そべると落ちそうで、皆が危ない危ないといって騒ぐのも一興でした(笑)。
庭掃除をしていたら、カキツバタの葉にヤゴの抜け殻発見。そういえば大女将が、昨日シオカラトンボが飛んでいたと言っていました。
この造形のリアルさ。とても空っぽだとは思えません。梅雨明けの空を見上げながら羽化する瞬間がそのままフリーズ。なんか、虫たちも苦労の多い生涯なんでしょうね…