5月は結婚シーズン。
ご祝儀の受付を飾るのは庭のお花たちと、メモリープリーツの折り鶴さんたち。
さわやかな季節に人生の新しい門出を迎えるおふたりを寿ぎます。
今、日光市内では桜回遊のイベントが盛んです。
東町よりひと足遅れて西町にも桜がやってきました。
高井家の庭の紅八重枝垂れ桜も満開です。
ずっとお天気が悪かったので、つぼみから八分までのいい咲き加減の見頃が残念でしたが、久しぶりの晴れにやっと間に合いました。
昼の桜を見上げても美しいのですが、夜桜はなおさら。
お客様がお帰りになったあと、外灯に照らされた植え込みの新芽の緑、宵闇に浮かび上がる枝垂れ桜、なんともいえない美しさです。
大女将が縁側に腰掛けて、
「この世がこんなに美しいなんて。若い頃はわからなかったけど、なんだかお名残惜しいねぇ」
とひとこと。
ほんとだね、お母さん。
私もこの頃つくづくそう思います。
咲いた時からもう散る心配の桜。
もう会えない人のことを思い出してせつなくなる気持ちに似ています。
みんながお祭りに夢中になっている二荒山神社の境内に、人知れずそっと咲いている小さなすみれの花。
見物の人たちに踏まれないかと心配しました。
今日の日を待っていたかのような綺麗なすみれ色。
本当に小さかったですよ。
来年もまた会えるかな。
4月17日。弥生祭例祭午後。
二荒山神社の拝殿の奥の神様にもっとも近づいてお囃子を奉納します。
普段は社殿をつないでいる渡り廊下を上げて、ぐるっと拝殿を回ります。
お手伝いのため客殿にいたために、思いがけず裏の方から見物することができました。
羽織袴姿に山高帽をかぶった各町内の重鎮が、宮司さんにご挨拶していく古式ゆかしい様子は、なんとも言えない日本の伝統を感じます。
裃に日光下駄の若衆(わかいし)達も、腰上げをした着物姿の男の子達もまことにクールでした!
4月16日の夜。
二荒山神社の弥生祭の前夜。各町内から繰り出された花屋体が町の夕暮れに灯りをともし、お囃子の音があちこちから響いてきました。
高井家のある下本町は、何年か前から過疎化のため屋体を出せなくなってしまいましたが、西町4ヶ町の花屋体が、店のすぐ近くの四ツ辻で顔合わせをします。
お座敷のお客様もお囃子の響きにつられて見物に。
美しく着飾った少女たちが奏でる笛や太鼓・鐘の音は、やっとおとずれた日光の春の宵を彩り、なんとも言えない夢の中のひとコマのよう。
かつては賑わった下本町の通り、今は昔の子供たちの姿を思い出してしまうせいでしょうか。