どうしてこれがショウジョウバカマという名前なのか。お能に「猩猩」という演目があり、オランウータンのような唐土の霊獣が酒に浮かれて舞を舞う話があります。しかし、この花は実際のところ紫色に近いピンクで、その葉は地面にへばりついてとてもそのような軽やかな感じには見えません。
春先、まだ花が少ない時期に群生しているのを遠くから見ると、ピンクの丸い形がなんともかわいい風情。お客様に「あれはなんという花ですか?」とよく訊ねられます。「ショウジョウバカマです」と答えるとほとんどの方は「ああ、あれがそうですか」というぐらい名前だけはよく知られているようです。
水芭蕉の歌の「遥かなオゼット」ではありませんが、私は長いこと「少女袴」だとばかり思っていました。